修学旅行②・息子がいない我が家はさびしい
「しばらくの間さびしいですね」
子供が修学旅行に行ったと話したら周りの人にそんなふうに言われた。
さびしいと思うかな。
もう彼は中学生である。
喋らないということはないがずいぶん素っ気なくなった。
小さい頃のように体温を感じるくらいべったりすることもない。
たまに相撲を挑まれるが、それはマジの戦いである。
心も親からは9割がた独立してしまった。
それが成長なのだから喜ばしいことだ。
人のことを思いやる気持ちは少ないのでまだまだ成長は必要だ。
聞き慣れない言葉や知らなかったことがあると、どうして言ってくれないのかと腹立たしいと思うこともあった。
でもよく考えたら、どんな人だって一言一句報告することはできないだろう。
我が子といえど体も心も違うのである。
血は繋がっていても個人。
・・なんて、自分の中で日々少しずつ消化していく。
そんな息子との距離感に慣れてきていた。
さて、さびしいだろうか。
結論からするとさびしくはなかった。
さびしいと思うほど家の中は静かでもない。
そう、もともと私がしゃべりすぎている。
家の中を走り回る息子がいなくてバタバタしていなかった。
おかげでテレビの音がよく聞こえる。
正直、快適だ。
学校のホームページはマメに更新してくれていた。
誰一人体調をくずすことなくで元気にやっているとのこと。
その一文だけでも保護者を安心させる。
残念ながら(というべきか)さびしいと感じるほどの日数でもないな。
そしてあっという間に息子は帰宅する。
家で夕飯を食べながら、旅行の話を聞いてほっとしている自分がいる。
やっぱりどこかぽっかりと穴が空いていたのだろうか。
その安心は無意識のさびしさからくるものだろうか。